議論はトランプ政権が実際に何を求めているのか不明確なまま推移した[ダボス会議年次総会の会場で会談するルッテNATO事務総長(左)とトランプ大統領(右)=2026年1月21日、スイス・ダボス](C)AFP=時事

 2026年初頭の米欧関係はグリーンランド危機に見舞われた。とはいえ、ドナルド・トランプ米大統領が、他国領土の獲得を目指さなければ、危機など存在していなかったわけで、完全に避けられたはずの危機だ。トランプが一方的に発生させ、まさにひとり相撲で、ひとまず収まった。欧州、さらには世界が翻弄された。結果として欧州における米国への信頼は大きく傷つき、将来に影を落とすことになりそうだ。

 ことの発端は、トランプによるグリーンランド「領有」の主張だった。世界最大の島として知られるグリーンランドは、デンマークの一部(自治領)である。そのデンマークは、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国だ。トランプ政権は、領有実現のためには軍事力の活用も排除しないとの強硬姿勢を示し、NATO加盟国領土が米国によって脅かされるという前代未聞の深刻な事態に陥った。

 1月17日にトランプは、デンマークおよびデンマークを支援する欧州諸国に、グリーンランドの完全な取得が実現するまで関税をかけるとの脅しをかけ、危機が一気に高まったのである。直後の1月21日にスイスのリゾート地ダボスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席したトランプは、演説のなかでグリーンランド取得を強調した。しかし、その直後、同会場でのマーク・ルッテNATO事務総長との会談後、「将来の合意の枠組みが成立した」として、関税の脅しも撤回された。当面、危機のさらなる悪化は免れた。

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