第5部 再起する日常(1) 復興ボランティア

執筆者:国末憲人2026年2月8日
ボランティアには「金持ちも、貧乏人も、軍人も、歌手など芸能関係者もいます」とソロミヤは語った[ボランティア団体「キーウ蝙蝠」のヴァレンティン・マルキネ(右)とソロミヤ・コヴァチ=筆者撮影]

 共通の歴史を持たない分裂国家、オリガルヒやマフィアに支配される腐敗体質、経験と士気を欠く軍隊――。ウクライナに対しては、このような言葉が数多く投げかけられてきた。ロシア流の上から目線に基づく誇張が入り込んではいるものの、これらの批判はある意味でこの国の弱点を突いてもおり、ウクライナ人から同様の不満を聞くこともあった。

 そのような社会が、近年大きく変化しているという。ロシアの全面侵攻という未曾有の大難に巻き込まれ、国運を懸けた戦争に向かわざるを得なかったこの国で、何が起きているのか。日夜攻撃にさらされるウクライナを歩いた。

突然現れた若者たち

 キーウをはじめとするウクライナ主要都市へのロシア軍攻撃は、2024年春にいったん下火になったものの、2025年6月から急増した1。引き金となったのは恐らく、6月1日にウクライナ保安庁が実施した「蜘蛛の巣作戦」だっただろう。ロシアの奥深くに位置する複数の空軍基地をウクライナのドローンが攻撃し、ウクライナ側によると40機以上に被害を与えた出来事で、ロシア側の攻撃激化は、これに対する報復だった可能性がある。

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