蒸す蒸す蒸す
2026年4月14日
竹の香りのする大きなセイロで蒸すことが大事だ(写真はイメージです)
野菜料理がおいしいと評判の店に行った。親しくしている八百屋さんから新鮮な野菜が毎日のように届くそうだ。それらを使ってシェフは清々しいほどシンプルで心のこもった料理を供してくれた。
大根のすり流し。ふきのとう風味の胡麻豆腐。小さなセイロに入った蒸し野菜の数々。味噌やタレや塩につけて自由に食べられる形式になっていた。
当日、私は珍しく胃の調子が悪かった。その晩の会食に出かけるのを躊躇した。ご馳走を食べられる自信がない。キャンセルしようか。しかし土壇場で欠席を申し出るのは憚られる。とりあえずその店へ行って体調の優れないことを告げ、少しだけご相伴にあずかって帰ってくることにしよう。
意を決してテーブルについたところ、次々に現れる料理がいずれも鼻にかぐわしく目に麗しく口に愛おしく、そして胃に優しい。調子が悪いと思っていた胃袋がどんどん受け入れ態勢を整え始めた。そして私の背筋はしだいに伸び、活力が湧いてきた。
もちろんコースの間には、肉も魚も混ざっていたが、圧倒的な印象としては、「野菜をたっぷり身体に取り入れた」気分だった。
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