過去1世紀で「最も進軍速度の遅い戦争」5年目の焦点
2026年4月1日
2025年のロシア軍死傷者は約41.5万人に達したが、過去1年間での新たな占領地[オレンジ色で塗られた部分]は犠牲に比してわずかだ(筆者の分析をもとに編集部作成)
2026年2月24日で、ロシアによるウクライナ全面侵攻開始から4年が経過した。戦争はすでに、独ソ戦(約3年10カ月)を超える長期戦となり、第二次世界大戦後の欧州における最大級の消耗戦となっている。国連人権監視団によれば、民間人被害は確認済みだけでも死者1万5000人超、負傷4万1000人超に達しており、実数はさらに多い可能性がある。軍事損耗も極めて大きく、CSIS(戦略国際問題研究所)は2025年末時点でロシア軍の死傷者を約120万人、ウクライナ軍を50万~60万人と推計している。合計では170万~180万人規模に達し、2026年春には200万人規模に近づく可能性すら指摘されている。
戦争の三つの特徴――消耗・戦法革新・持久
この戦争の第一の特徴は、戦場が膠着しているにもかかわらず、損耗だけは加速度的に拡大していることである。CSISの分析によれば、2024年以降のロシア軍主要攻勢の進軍速度は、ウクライナ東部のチャシウ・ヤール方面で1日15メートル、クピャンスク方面で23メートル、ポクロウシク方面でも70メートル程度にすぎない。換言すれば、ロシア軍は局地的前進を続けているものの、その速度は過去1世紀の主要攻勢作戦の中でも最も遅い部類に属する。わずかな前進にもかかわらず、2025年のロシア軍死傷者は約41.5万人に達し、単純計算で1日平均1100~1200人規模の死傷者を出したことになる。大量の人的損耗に値する陣地拡大も得られない中、ひたすらウクライナ東部ドネツク州の全域占領に向け攻撃を継続する――これがロシアの戦いの現状である。
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