新たな艦隊構想の責任者であったフェラン海軍長官(右端)は4月22日に突如として辞任が発表された[ゴールデン・フリート構想について発表するトランプ大統領(左から2人目)。両隣はルビオ国務長官(左)とヘグセス戦争長官(右)=2025年12月22日、米フロリダ州](米戦争省HPより)

 今年末に改定が予定されている戦略三文書を検討するうえで、中核的な問いの一つが、日本はどのようにして対中抑止力を構築するのかという点である。抑止力は意思と能力、そしてそれを相手に伝達することが重要とされるが、このうち能力は、配備された戦力規模だけでなく、戦略環境に適した戦力構成や戦い方によって成り立つ。

 この点で、地理的に限定された領域での防衛を前提とする軍隊と、グローバルに展開する遠征軍とでは、求められる能力の性質は大きく異なる。後者に該当する米軍は、特定地域に特化することができず、世界全体の戦略環境や政治指導者が定める優先順位によって、その方向性が大きく左右される。

 第二次トランプ政権は発足後、対中抑止よりも西半球防衛を最優先とする方針を打ち出し、政権発足から約1年が経とうとした時に、それを裏づける戦略文書を発表した。では、こうした優先順位の変化は、米軍の対中抑止の在り方にいかなる影響を及ぼしているのか。そして日本の防衛にどのような影響をもたらすのか。本稿では、米海軍に焦点を当てて分析する。

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