インドで小型車の販売競争が激化している。ホンダが六月に参入したのに続き、二〇一〇年初めにはドイツ大手のフォルクスワーゲン(VW)も追随。日産自動車やトヨタ自動車の小型車発売計画も控える。全長四メートルまでのハッチバック車が市場の六割以上を占める有数の「小型車王国」でグローバル企業を交えた戦いが始まる。 ホンダ「ジャズ」(日本名フィット)、VW「ポロ」、日産の次期「マイクラ」(日本名マーチ)、トヨタのエントリー・ファミリー・カー(EFC)……。数々の新型車が控えるインド市場は、百花繚乱の様相を呈する。スズキ、韓国の現代自動車、地場のタタ・モーターズの三強が牛耳ってきた市場がどう変わるのかが最大の注目点だ。 世界大手がインド開拓を急ぐのにはわけがある。同国の四―八月の新車販売は前年同期比一二%増の約七十一万七千台。先進各国のような新車買い替え優遇策がないにもかかわらず、年間で過去最高となった昨年度の同時期を上回った。個人消費の底堅さを改めて示した格好だ。 だが成長性に期待する新参メーカーの行く手には、先行メーカーの壁が立ちはだかる。スズキは八月、首都ニューデリー北西にテストコースなどを備える本格的な研究開発(R&D)拠点を新設すると発表した。二〇一二年を目標に、インド子会社がインド市場のために外観をデザインした「インド専用車」を発売し、後発各社に対抗する。

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