4月28日から30日にかけて、社会主義愛国青年同盟第11回大会が開催された。朝鮮労働党傘下の青年団体であり、朝鮮民主青年同盟、朝鮮社会主義労働青年同盟、金日成(キム・イルソン)社会主義青年同盟、金日成・金正日(キム・ジョンイル)主義青年同盟へと改称が重ねられ、2021年4月の第10回大会で現在の名称になった。中国共産党の中国共産主義青年団、ベトナム共産党のホーチミン共産青年同盟に相当する。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は大会参加者たちと5月2日に記念撮影を行ったものの、前回同様に大会そのものには出席しなかった。主たる大会出席者は、党中央委員会政治局常務委員会委員の金才龍(キム・ジェリョン)書記、李日煥(リ・イルファン)書記、朝鮮人民軍の金成基(キム・ソンギ)総政治局長らであった。
第1議題の活動総括では、青年軍人が「祖国防衛、革命防衛、人民防衛の第一線」で党の命令に従って血と生命、汗で大きな功績を積み上げたことが強調された。第2議題の規約改正については、党規約と同様に具体的な条文は非公表であるものの、「朝鮮労働党の戦闘的後続部隊としての面貌を精鋭化し、同盟の組織力と団結力、活動性を高めるための実践的要求が反映された」ことが明らかにされた。第3議題の中央指導機関選挙で中央委員会が編成され、会期中に開催された青年同盟中央委員会第11期第1回全員会議(総会)で、委員長に白銀鉄(ペク・ウンチョル)、副委員長に金主赫(キム・ジュヒョク)ら6人が選出された。大会は、「金正恩将軍を命懸けで死守せん」の合唱で閉幕したという。
朝鮮人民軍がロシアの戦勝パレードに参加
5月8日付には金正恩による軍関連の視察についての記事が2件掲載された。
まず、7日に駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」号に乗船して「機動能力総合評価試験」を視察したことを伝える記事である。視察には娘も同行した。金正恩は、「海兵が近代的な軍事技術力の総合体である新型駆逐艦を巧みに運用できる専門的能力を徹底的に備えるための訓練で成果を収めている」ことを高く評価した。同艦は6月中旬に海軍に引き渡されるという。
もう1件は、6日に重要軍需工業企業所を訪問したとの報道である。金正恩は、党中央委員会第9期第1回全員会議の決定に従って今年中に南部国境の長射程砲兵部隊に装備させるという3大隊分の「新型155ミリ自走平曲射砲」の生産実態を確認し、この兵器システムが持つ軍事戦略的価値に言及したという。
また金正恩は、装甲武器研究所と複数の軍需工業企業所が生産している新型主力戦車と多様な発射台車についても視察し、党中央委員会第9期第2回全員会議で軍需工業企業所の技術改造計画事業と関連予算を審議、批准することを予告した。
9日付1面トップには、大祖国戦争勝利81周年に際して金正恩がウラジーミル・プーチン大統領に送った祝電が掲載された。「同盟的性格の包括的戦略パートナーシップを最大に重視し、変わることなく昇華、発展」させるという北朝鮮政府の立場を再確認し、「平壌は常にあなたと、兄弟であるロシア人民と共にあります」などと述べている。同日モスクワの赤の広場で実施された記念閲兵式には、朝鮮人民軍の陸海空軍混成縦隊も参加した。
国務委員長の権限拡大
6日、韓国統一部が、最高人民会議第15期第1回会議で改正された「朝鮮民主主義人民共和国憲法」の条文(全168条)を公開した。北朝鮮メディアは依然として新憲法の条文を公表しておらず、真偽のほどを断定することはできないが、今回判明した内容はいずれも近年の北朝鮮の論調変化に沿ったものである。
従来の「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法」(全172条)の序文では、金日成と金正日の業績が長文で羅列されてきたが、新憲法ではそれらが全て削除された。先代指導者の名については、「朝鮮民主主義人民共和国は、偉大な金日成・金正日主義を国家建設と活動の唯一の指導的指針とし、全社会の金日成・金正日主義化を国家建設の全的方向、全的目標とする」との表現で触れるのみであり、これは旧憲法第3条と同程度の内容を序文に移したものである。
韓国については「第一の敵国」「徹底的な敵国」といった評価を加えず、「朝鮮民主主義人民共和国の領域は、北側に中華人民共和国とロシア連邦、南側に大韓民国と接している領土と、それに基づいて設定された領海と領空を含む」(新憲法第2条)と明記されるにとどまった。「祖国統一」や「民族大団結」は削除され、「社会主義の完全な勝利」といった語彙も見当たらないが、前回本欄で触れたように「社会主義」の堅持は疑いようがない。新憲法序文の冒頭では、「朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮人民の利益を代表して社会主義偉業のために闘争する人民大衆中心の社会主義国家である」ことが謳われていることを含め、憲法全体で「社会主義」への言及は38回にも及んでいる。
金正恩が務める国務委員会委員長については、「最高領導者」(旧憲法第100条)から「国家首班」(新憲法第86条)へと表現が変更されたが、『労働新聞』では一昨年の時点で既に看取できた事実である(https://www.fsight.jp/articles/-/50999)。「核武力に対する指揮権は、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長にある」(第89条2項)、「国務委員会委員長は、国家核武力の指揮機構に核武力使用権限を委任することもできる」(第89条3項)は新設条項であるが、不自然なものではない。最高人民会議や最高人民会議常任委員会が採択した法令、政令、決定、指示に対する国務委員長の「拒否権」(新憲法第90条4項)について新たに規定されるなど、その権限拡大が法的に担保された。最高人民会議による国務委員長の解任権についての条文(旧憲法第91条5項)は削除された。
そもそも旧憲法では第6章「国家機構」において、第1節「最高人民会議」、第2節「国務委員会委員長」の順に言及があったが、新憲法では両者が入れ替わって第1節に「国務委員会委員長」が置かれた。実態上の権力配置を憲法の構成にも反映させた変更だと言える。
地味に興味深いのは、国務委員長の権限に「外国代表の信任状を受け取る」(新憲法第90条6項)ことが含まれた点である。これまでは最高人民会議常任委員長の役割であった(旧憲法第117条2項)。
金日成時代から誇ってきた「税金がなくなったわが国」(旧憲法第25条)という表現や「全般的無償治療制」(旧憲法第56条)が削除されるなど、経済、社会、文化分野での改正も目立つ。『労働新聞』掲載の写真などでは今年に入ってから国旗のサイズが変わったように見受けられたが、国旗の縦横比に関する条文を見ると、1:2から1:1.65へと変更(新憲法第166条)されたようだ。国連基準サイズの2:3に近くなったものの、個性的な縦横比である。
韓国政府が入手したこの新憲法が本物であるとの前提に立つと、全体としてサプライズはないものの、想定以上の大幅改正であったと言える。国旗法など関連法規にも相応の改正が及ぶことになるのだろう。
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