二〇一六年夏季五輪の開催地をめぐり、候補四都市の首脳らは国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれたコペンハーゲンに乗り込み、華々しく五輪首脳外交を展開した。最終的にブラジルのリオデジャネイロに決まったが、この結果が各首脳の威信と指導力にどう響くかはもう一つの見どころだ。 スペインのカルロス国王とブラジルのルラ大統領は、最初からIOC総会出席を決めていた。オバマ米大統領はミシェル夫人を派遣することにしていたが、最終段階で出席を決めた。鳩山由紀夫首相もG20金融サミットから帰国直後に参加を決定した。 プレゼンテーション(招致演説)で、オバマ大統領はシカゴの素晴らしさを語り、鳩山首相は「友愛」を説いた。ルラ大統領は「南米初の五輪」を訴え、カルロス国王はスペイン世論の高い開催期待を披露した。 投票では、まず本命と見られていたシカゴが、続いて東京が落ちた。リオとマドリードの決選投票となり、大差でリオに決まった。ルラ大統領は会見で「人生でこんな感動的なことがあるとは思わなかった」「この勝利は我々が二等国ではなく、一等国になったことを意味する」と何度もハンカチで顔を覆って男泣きし、感動を誘った。

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