太陽光発電装置の販売をめぐるトラブルが急増している。普及促進を目的とする政府の設置費用の補助制度などが復活し、今年に入って販売面は好調に推移する。一方、それに比例する形で強引な訪問販売商法への苦情件数も増加。二〇〇九年度上期に国民生活センターに集まった相談はすでに一千件を超え、前年同期より二割以上多いペースだ。その中でも、訪問販売に関する相談が八割超を占める。 太陽光発電の販売を黎明期から支えてきたのが、訪問販売業者。「設置すると環境保護に貢献するし、電力会社に余った電気を売れるため設置費用が回収できる」などと消費者を“説得”し、徐々に市場を開拓してきた。 日本で一世帯あたり太陽光発電の普及率が高い都道府県の代表例が佐賀県。複数の有力訪問販売業者が存在し、活発に営業展開してきたことが要因のようだ。関係者は「メーカーは販売に貢献する業者の行動を事実上黙認している」と指摘する。 鳩山政権が掲げる低炭素社会の実現に向け、太陽光発電の市場拡大は確実視される。だが、メーカーはコスト削減や性能向上に躍起になり、販売面での整備を怠ってきたのが現状。消費者の信頼を失わないためにも、健全な市場育成に向けた対応は待ったなしだ。

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