企業年金危機で「日本版401k」の使い道

執筆者:清水常貴2009年12月号

「日本航空(JAL)も年金に日本版401kを導入していたら再建はやりやすかっただろう」という声もある。JAL再建の最大のネックになっているのがOBへの確定給付年金(DB)。企業年金は国民年金、厚生年金にさらに上乗せする三階部分の年金で、JALのDBは年四・五%で運用する約束になっている。が、二十年国債の金利が二%の時代にそれほど高い利回りを得るのは土台、無理。不足分は会社側が穴埋めすることになり、その積立不足分だけでも三千三百億円を超えている。JALばかりではない。昨年のリーマンショック後の株価下落で、日本企業のDBは積立不足額が急増。十三兆円にも上っている。「日本版401k」とは、確定拠出年金(DC)のこと。会社側が毎月一定額を拠出し、運用は社員個人の責任にする仕組みで、DBに比べて企業に有利。社員から見ても、税制面での優遇措置や、退職しても転職先に年金を持ち運べるなどのメリットがある。だが、「DCは規制緩和の流れを受け二〇〇一年に解禁されたものの、飛びついたのは社員の出入りが激しい外食産業くらいで、鳴り物入りで登場した割には増えなかった」(大手証券会社幹部)。そのうえ、最近では引受会社の生命保険会社や信託銀行が一人ひとりの運用を扱うDCの取扱をやめ、まとめて運用できるDBの引き受けに切り替えている。「日本版401k」の実情はどうなっているのか。

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