アートで見る地球の実相

執筆者:インゴ・ギュンター2010年2月号

[ニューヨーク発]「知的所有権」という観点から地球を眺めると、おもしろいことがわかる。左の地球儀は、アメリカで登録されている特許所有者の(登録上の)出身国を、数の多さに比例する大きさで表したものだ(データは作成時に最新だった二〇〇七年のもの)。日本、ドイツ、イギリスの持つ特許がどれほど多いかがわかる。 スイスのジュネーブに本部を置くWIPO(世界知的所有権機関)によると、〇八年、アメリカの特許所有者に外国人が占める割合が初めて半分を超えた。〇七年には五一・二%だったアメリカ人の比率が四九・七%になったのだ。代わって増えたのが、韓国、日本、中国の個人や企業がアメリカで得た特許だった。中国は一年で十三番目から九番目へと順位を上げて、オランダを抜いた。 その中国では、アメリカとは反対に、中国人の所有する特許が年々増えており、〇八年、中国では初めて、地元から申請されて認められた特許が、外国人の特許を上回った。ちなみに日本で認められている特許の八八%が日本人によるもので、韓国ではこの比率は九八・五%だ。 アメリカ人による特許が半数を割ったことについては、科学技術分野におけるアメリカの先進性が失われつつあることを示すのではないか、といった議論が湧き起こった。だが、アメリカ人の比率が下がった原因は、自国と並行してアメリカでも特許を申請する外国人が増えたことによる方が大きい。背景には、アメリカの特許保護期間が長いことがある。

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