日本政府がロシアの改革支援のために設置した在モスクワ日本センターの種村博雄所長が、海賊版パソコンソフトを無断使用したとしてロシア検察当局に起訴された。公判が進んでおり、「有罪なら最高六年の自由剥奪」(ベドモスチ紙)という。検察当局は昨年三月、日本センターを家宅捜索し、パソコンを押収。同所長は八月にソフト開発会社に損害金を払ったが、翌月起訴されたことが、今年一月にわかった。ロシアでは多くの市民が海賊版ソフトを使用しており、今回の起訴は明白な嫌がらせ。 種村氏は、数年前に別の事務所の所長だった時、部下の日本人が地元マフィアとの抗争で大怪我をしたことがあり、今回もマフィア絡みを疑う声がある。 日本センターは一九九二年の主要七カ国会議で決まったロシアの市場改革支援策に沿って発足。ロシア国内七カ所に設置され、運営費は年間十数億円。これまでにロシア人三千五百人を日本に招いたが、「領土問題解決のための環境支援」という目的は空回りし、一部は外務省OBの単なる天下り先だ。「外国の非政府組織を規制するロシア当局は日本センターの活動を毛嫌いしている。起訴は閉鎖に追い込むための口実かもしれない」(在モスクワ消息筋)との見方もある。

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