米国の対中強硬策 影の主役は情報機関

執筆者:春名幹男2010年3月号

 年明けから、米国の民・官・情報機関が中国に対して、三連発で鋭い攻撃の矢を放った。 第一発は、米インターネット検索大手、グーグル。中国当局の検閲やサイバー攻撃を理由に中国市場からの撤退を検討、と発表した。 二発目で、クリントン米国務長官が「インターネットの自由」について演説、「サイバー攻撃に関与する国・個人は、国際的な非難に直面するだろう」と中国に警告した。 そして三発目。ブレア国家情報長官(DNI)が議会に提出した「年次脅威評価」報告書で「中国の攻撃的なサイバー活動」に対して警戒を呼び掛けた。 グーグルは、発表の数時間前に米政府に通知しただけで、この問題で政府は無関係としている。だがグーグルCEO(最高経営責任者)のシュミット氏はオバマ大統領の支持者で、科学技術諮問委員だ。 さらに、オバマ大統領は、中国が反対する台湾への総額六十四億ドル(約五千七百億円)の武器輸出を決めた。鮮やかな対中一斉攻撃だった。 オバマ政権は昨年末まで、中国に対して極めて融和的だったが、中国側はオバマ政権への協力姿勢を見せなかったばかりか、大がかりな対米サイバー攻撃を仕掛けてきたのだ。 クリントン長官は昨年二月に訪中した際は、「世界経済危機問題には人権問題を絡ませない」と公言し、中国の人権問題を追及しない方針を示していた。

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