米国のファーストレディー、ミシェル・オバマ夫人(四六)の装いが、最近、「ファッション・デモクラシー」というキーワードで語られている。 ファッション民主主義――この意味するところは「ハイ・アンド・ロー」、つまり特定のブランドに偏らず、高額なものも、安価なカジュアルも、またアヴァンギャルド(前衛)も、ミックスして自分のファッションに取り入れることだ。さらには一般庶民が真似できるファッションという意味もここには込められている。 最近、著書『ミセス・O ファッション・デモクラシーの顔』を出したモード評論家のメリー・トマーさんは「庶民はファーストレディーの装いに憧れながらも、これまでは手が届かなかった。しかしミシェル夫人の服は価格的に手が届くものが多い。夫人の着た服を人々も着るのが流行で、こんなことはかつてなかった」と語る。 過去、政治や社交の場でファッション・アイコンとして注目されたジャクリーン・ケネディ米大統領夫人と英国のダイアナ妃。二人は衣装のもつ政治的象徴性やシンボル機能を熟知してもいた。例えばジャクリーン夫人はモダンなデザインと大胆な色柄を取り入れたが、これはケネディ大統領のニューフロンティア政策に流れる楽観主義と共鳴し、政策のイメージ形成に大きな役割を果たした。

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