台湾当局は二月十日、液晶パネルメーカーの中国工場建設を条件付きで解禁した。すでに量産を始めている最新鋭工場の一世代前までの生産施設の中国進出を認めるもので、パネル生産で世界三、四位を占める友達光電(AUO)と奇美電子が中国での工場設立に意欲を示す。 友達光電は台湾で第八・五世代工場(二・二×二・五メートルのガラス基板に対応)を稼働させているが、中国で約一千億台湾ドル(約二千八百億円)を投じて立ち上げるのは、これより一回り小さなガラス基板を用いる第七・五世代の工場。奇美電子も同じ世代の生産施設を建設するとみられる。 中国での液晶パネル生産では、韓国勢も世界最大手のサムスン電子が第七・五世代、二位のLGディスプレーが第八世代の工場を建設すると発表済み。また、日本のシャープも第八世代の合弁生産を検討している。 ただ、中国企業の工場建設も進み、液晶パネルについては供給過剰の懸念も出ているため、日韓台の計五社のうち三―四社にしか進出許可が下りない可能性も指摘される。 比較的有利と目されているのは台湾勢の二社。いずれも自社ブランドのテレビを生産しておらず、中国のテレビメーカーとの補完性が高いためだ。中台統一をにらんだ中国当局の台湾企業優遇の方針にもかなう。

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