中国はどこを切り取っても面白い

執筆者:野嶋剛2010年9月1日

 中国が最近、大きく見えます。

 お金を落とす観光客は中国人だし、景気のいい話も中国の方ばかりです。
外交の舞台では米中が日本の頭越しに仲良くやり始めています。
 北朝鮮問題は中国頼み。軍事力はひたひたと太平洋に押し寄せてきています。
 メディアによる中国の取り上げ方も「中国が存在感を発揮」「中国に注目」的な報道ものが多く、政治も経済もなんだか冴えない日本人は、まずメンタルの面で中国に圧倒されてしまいそうです。

 しかし、いろいろ考えてみると、中国はまだまだこれからの国です。
 政治は相変わらずの一党独裁で、経済成長もいつまで続くとも思えず、所得格差で庶民の不満はたまっています。

 ウイグルやチベットの民族問題も、事態が改善しているようには見えません。
 地震や災害では、びっくりするほどの被害を出してしまいます。
 現実は正負両面が混沌としていて、どこを切り取っても面白い。それがいまの中国です。
 このような観察対象が、いま日本の隣に出現したことは、ウオッチャーにとっては「幸福」のひと言です。
 ですから、中国については楽しみながら、軽やかに、いろんな角度からウオッチする。
 これを、私は基本的なスタンスとしています。

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