中国と欧米の援助政策の違い

執筆者:平野克己2010年9月10日

(9月6日のエントリ「チャイナ・ダック協議体とは?」 http://www.fsight.jp/blog/5720 にコメントを下さった「つるりん」さんへの回答です)

 中国の対スーダン外交や対ジンバブエ外交が、それぞれの国民や周辺諸国に悪い影響を与える可能性があるのはたしかで、これについては中国自身も苦悩しているという印象を私はもっています。

 天安門事件のときの日本の対応が思い出されます。このとき日本政府は欧米諸国と一線を画し、対中制裁に与しなかったことで国内外の批判を浴びました。このときの政策の功罪に関しては国内でも未だ評価が定まっていないようですが、いずれにしろ日本はそういうスタンスをとった。

 外交原則としての内政不干渉がODAにおいて崩れていったのには、いくつか背景がありました。もっともな点も多々あります。アフリカの権力実態に詳しい欧米の研究者が描き出すアフリカ政治の姿はすさまじく、彼らの報告を読むと、援助停止や制裁を発動できない援助など無力だとの思いを抱かせられます。

 しかしその一方で、ではどうすればよいかの政策論は希薄です。オックスフォード大学のコリアーは「低所得国にあって最大の不安定化要因は複数政党制選挙なのであり、これを要求する際には選挙後数年のフォローアップ措置を提供しなければならない」と提言しています。外交の限界をシビアに指摘する議論はなかなか出てきません。

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