台湾の五大都市選挙は明日投票

執筆者:野嶋剛2010年11月26日

いま、台湾にいます。明日の五大都市選挙の投票を見るためです。今夜、台湾特有のにぎやかな選挙運動がフィナーレを告げ、明日の投票を待つのみ。先月末にフォーサイトの記事で紹介しましたが、台北、新北(旧台北県)、台中、台南、高雄の各市長を選ぶ今回の選挙は地方選挙とはいえ、なかなか重要な選挙です。というのも、2012年の総統選挙に向けた中間選挙的な位置づけであり、選挙人口は台湾全体の6割をカバーし、次の総統候補になりうる役者がそろっています。

台湾では2008年の総統選挙以来の大型選挙とあって、私を含め、日本から大勢の「台湾選挙好き」の記者や研究者が続々と台湾に入ってきていて、あちこちで「いやあ、お久しぶり」なんてあいさつをかわしています。

さて、詳細な分析は明日の結果をみて改めて報告しますが、与党国民党と野党民進党のどちらが、今回の選挙の勝利者となるのでしょうか。台湾の選挙結果を正確に予想するのは本当に難しいのですが、それでも勇気をもって、あえてここ数日の雰囲気を勘案して私なりに予想してみますと、国民党が三議席、民進党が二議席という結果になりそうです。

台南、高雄は民進党、台中は国民党でほぼ決まりです。問題は、台北と新北。台北では国民党現職の郝龍斌氏に、民進党の大物、蘇貞昌氏が挑んでいます。2週間前までは蘇氏が優勢とされましたが、もともと国民党の地盤が強い台北だけあって、郝氏が盛り返し、蘇氏を追い抜いた様相です。一方、新北は逆の構図で、馬英九総統の後継者と言われる国民党の朱立倫氏が有利とされていましたが、民進党の女性党首、蔡英文氏が予想以上に激しく追い上げています。両党の最新の世論調査をこっそり聞き出しましたが、どちらも5~10万票ぐらいの僅差でリードしていると見ており、五分五分といっていい状況かも知れません。しかし、私としては、最終的には安定感のある朱氏がぎりぎり逃げ切るのではないかと感じています。

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