シアトルWTOに続いて狙われる沖縄サミット

執筆者:春名幹男2000年1月号

 昨年十二月、米ワシントン州シアトルで開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議が決裂した。その時、路上を埋めたデモ隊から大歓声が上がったという。

 「WTO失敗の本当の原因は、バーシェフスキー米通商代表らの能力のなさにあったが、デモの非政府組織(NGO)は、自分たちが失敗に追い込んだと自負している」

 現場にいた元米通商代表部幹部はそう証言する。

 NGOの意気は、ますます上がっている。そのNGOの動きに、日本の公安当局も神経をとがらせている。

「七月の沖縄サミット(主要国首脳会議)には、ずいぶん問題がありますからね」と公安筋は警戒感を強めている。

 別の日本政府情報筋も、「サミットの議題が正式に確定するまでは、NGOの動きは読めない」と不安を隠さない。

 国内ではほとんど報道されたことがないが、実はこれまでのサミットにもNGOグループが多数押し掛けて来ている。サミット会場の外で、発展途上国の経済学者らも集め、「金持ち諸国のサミット」に対抗して「人民のサミット」という名前で集会を開き、サミットのあり方を厳しく批判してきた。

 WTO閣僚会議では「人民のグローバル・アクション」という名前の集会が開かれた。

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