日本長期信用銀行の米リップルウッド・グループへの売却交渉が予定より一カ月遅れで決着し、三月に民営の新生長銀が発足する見通しになった。この長銀売却に絡んで注目されていたのが、同行が主要取引先として深く関わってきた、そごう、熊谷組、ハザマといった企業の“処理”。つまりは債権放棄の実施だ。

 ハザマのメインバンクである第一勧業銀行は、セゾングループの西洋環境開発処理で手一杯。住友銀行なども社債償還資金を熊谷組から要請されたばかり。昨年度、債権放棄を要請した青木建設や佐藤工業などと違い、これらの企業の債権放棄は「長銀抜きでは無理」(大手銀幹部)との声が支配的だった。だが国有長銀では債権放棄は不可能でも、民営化されれば新経営陣の自主判断に委ねられる。関係者の間では、「あるいは」との見方も囁かれていた。

 ところが、当初は二月上旬の予定だった民営長銀の発足が三月にずれ込んだことで、「今年度は完全に時間切れ」(金融関係者)。各企業の決算に間に合わないからだ。長銀取引先の“Y2K問題”は、とりあえず四月以降に持ち越されることになりそうだ。

 

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