「国会は『がまん比べのチキンレース』になってきた」(一月二十七日、朝日)

「どちらが先に折れるかという『チキンゲーム』と化している」(一月三十一日、読売)

 一月二十日の通常国会開幕早々、衆院議員定数削減問題で激突し、小渕恵三首相の施政方針演説もそれに対する代表質問も野党が全面ボイコット、与党が単独で衆参両院本会議を強行するという憲政史上例のない混乱を引き起こした与野党攻防を、新聞各紙は皮肉を込めてそう評した。

 チキンゲームとは、一直線上に向かい合って互いに猛スピードで車を走らせ、どちらか先にコースを避けた方が負けという危険この上ないゲームのこと。どちらも譲らなければ正面衝突、死が待っている。「運転技術を競う」などという高尚な目的があるわけではない。「チキン(弱虫)」と蔑まれたくない、ただそれだけのために命を懸けるのである。米国映画の無鉄砲なヒーローよろしく、この目を背けたくなるようなゲームに手を染めたのは我が選良たちだった。

 争いの発端は、自自公三党が足並みを揃え、衆院比例代表定数を二十削減する公職選挙法改正案を昨年十二月の自民、自由両党の合意通り、「通常国会冒頭」で成立させる構えを示したことにあった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。