沖縄サミットで日本政府が中国の参加を検討していた問題は、当の中国政府が不参加を公式表明して決着したが、この中国の決定の裏には、中国の参加に強い難色を示す米国の意向が大きく作用したとの見方が強い。

 二月に訪米した河野外相はクリントン大統領と会談したが、席上、大統領は河野外相に対し、「中国を参加させたいのなら別に構わない。ただし、インドとオーストラリアも参加させるのが条件だ」と語ったという。米国としては、「民主主義の強化」「市場経済」「人権尊重」を基本理念に据えるサミットに共産党支配の中国の参加を許すのなら、「世界最大の民主主義」を標榜するインドなどにも参加資格はある、と痛烈な皮肉を放ったわけだ。

 困ったのは日本政府。中国参加に熱心だったのは小渕首相と公明党だが、米国の意向は無視できないし、さりとて中国招致の方針を急転換するのも不自然。結局は、中国側が自主的に不参加を表明したため。小渕首相の面目も大きく損なわれずに済んだ格好だ。このため、中国の態度を「日本に恩を売るための助け舟だった」とする、うがった見方さえ出ている。

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