ポスト朱鎔基は黄菊か李長春か

執筆者:2000年4月号

 中国では来春の全国人民代表大会(全人代=国会)に向け、国務院(政府)首脳をめぐる人事抗争が水面下で動き始めた。

 目玉は二〇〇二年に任期を迎える朱鎔基首相の後任となる副首相人事だ。黄菊・上海市共産党委員会書記、李長春・広東省党委書記の二人が副首相に昇格、李嵐清、銭基シン両副首相は政治協商会議副主席に退くことが、どうやら固まった模様だ。

 従来、ポスト朱鎔基は温家宝、呉邦国の両副首相が最有力とされていた。ところが、江沢民国家主席は両副首相を飛ばして、来春昇格する黄菊、李長春の二人のいずれかを首相に起用する意向だという。

 特に「上海閥の黄菊氏が一歩抜け出た」(共産党中堅幹部)。呉邦国副首相も上海閥で黄菊氏とまったく同じ経歴をたどって来たが、「担当した国有企業改革で評価を下げた」といわれる。温家宝氏は最近、存在感を再び強めている喬石・前全人代常務委員長に近いことから江主席に警戒心を持たれ、首相の目がなくなったとの見方がある。

 ただし、江主席も李長春氏を最後まで首相候補として残すことで黄菊氏を牽制、権力基盤の強化に利用したい腹で、状況によっては「李長春首相」の可能性も十分ありそうだ。

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