来年一月スタートの中央省庁再編で、「経済産業省」に衣替えし、「経済政策の主導権を大蔵省から奪う」と威勢のよかった通産省が、このところまったく精彩がない。同省の有力幹部ですらこう批判する。「いったい経済産業省としてどんな政策を打ち出すのか準備が出来ていない。それどころか、当面の政策についても場当たり的にしか取り組んでいない」 たしかに、通産省はこの半年間で様変わりした。昨年十月の内閣改造前後、与謝野馨前通産相の頃は景気対策、産業再生などで通産省は政府の経済政策の主導権を握ったかの観があった。しかし、内閣改造で深谷隆司氏が通産相に就任してからというもの、同省は「開店休業」の状態が続いている。「深谷さんは、自分の選挙のことで手一杯なのでしょう。政策にはあまり関心を示さない。早く選挙が終わり、新大臣を迎えるまでは動きがとれない」(大臣官房幹部) 広瀬勝貞事務次官(昭和四十一年入省)はこうした状況に「カリカリしている」(同省幹部)という。しかし、省内には広瀬次官だけではなく、村田成二産業政策局長(四十三年)、佐野忠克官房長(四十四年)など省首脳陣のリーダーシップ不足を問う声もあり、「次の大臣も選挙第一主義ならどうするのか」(中堅幹部)と疑問を投げかける幹部も増えているという。

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