ITスーパーパワー インドの秘密

執筆者:境分万純2000年5月号

「インドは中国よりもはるかに重要」――ビル・ゲイツは語った

[ニューデリー発]クリントン大統領は三月、バングラデシュ、パキスタンと並んでインドを訪問した。米大統領によるインド公式訪問は実に二十二年振りで、その締めくくりには総額四十四億ドルの投資案件が合意された。

 だが、五百七十社が加盟するインドのソフトウェア業界団体ナスコム(NASSCOM)のデワン・メータ会長は、その合意を「二義的な問題」と言う。「最大の意義は、米国大統領がインドに対し、新興ITスーパーパワーのお墨付きを与えたことだ。我々が感じたのは、(核問題やカシミール紛争に対する)政治的スタンスは別として、ITでは二国協調体制でいこうという意思表示だった」。

 そのひとつ、南インド・アンドラプラデシュ州都ハイデラバードで、大統領が業界向けに行なったスピーチには、ウィプロ(Wipro)、サティアム(Satyam)、インフォステクノロジーズ(Infosys Technologies)といった主要IT企業のトップや、米国シリコンバレーのインド系起業家団体など、錚々たる顔触れが集まった。

 ハイデラバードは、隣接カルナタカ州にある「インドのシリコンバレー」バンガロールに次ぐ新たなサイバーシティとして注目されつつあり、内外の主だったITメジャーが続々と拠点を構えている。これは、チャンドラバブ・ナイドゥ州首相をはじめとする州政府挙げて推進されており、今後、ケロッグやウォートンなどの米国ビジネススクールの誘致も計画されている。

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