終焉が近い「経世会支配」

執筆者:2000年5月号

最大のアキレス腱は総裁候補の不在

「経世会支配」とまで呼ばれたほど、長い間自民党を牛耳ってきた小渕派(旧竹下派)が、最大の危機を迎えている。派閥領袖である小渕恵三前首相の死去後も、政府に青木幹雄官房長官、党に野中広務幹事長を置き、森喜朗新政権を実質的に支配している。しかし一皮むけば、派内は一枚岩とはいえず、小渕の後は総裁候補が派内に見当たらないという事情もあり、将来の展望が不透明になってしまったからだ。

 森政権は六月二十五日に衆院選という審判を受ける。果たして選挙後も小渕派は主導権を握り続けることができるのか、それとも派閥分裂の道に突き進むのか――。党内最大派閥の動向は今後の政局を直接左右するだけに、小渕派の行方に熱い視線が注がれる。

竹下引退会見が示したもの

 五月一日に行なわれた竹下登元首相の引退会見に入院中の竹下本人の姿はなく、竹下の秘書から今や参院のドンになった青木が竹下の声を録音したテープを流して行なうという異例のスタイルをとった。淡々と引退の決意を語る竹下の声を聞きながら涙が止まらなかった青木の姿も印象に残ったが、それ以上に、小渕派の幹部が会見に顔を揃えたことが話題を呼んだ。

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