ダイヤモンド界の巨人デビアス社が、ダイヤ利権をめぐり泥沼化するアフリカ諸国の内戦に、かつてなく危機感を強めている。シエラレオネやアンゴラでは、反政府ゲリラが鉱山を押さえ、紛争地からのダイヤが世界の市場に流れ込み、市場の約三分の二を牛耳るデビアス社の牙城を脅かしているからだ。

 デビアス社は、これまで豊富な在庫を調整して国際価格に影響力を行使してきたが、その神通力にもかげりが出てきた。昨年の売上は前年を上回ったものの、競争力低下で販売経費が急速に増え、今後の収益性低下への懸念が強まっている。

 ダイヤ密輸の国際監視体制の確立は、世界第二位のダイヤ輸入国である日本が主催する沖縄サミットでも議題となるが、英国が特に熱心にこの問題に取り組んでいる背景には、ロンドンに拠点を置くデビアス社の強い働き掛けがあるとみられている。フランスや世界最大の取引市場を抱えるベルギーなどは英国の突出に冷淡な視線を注いでいる。だが英国には、ダイヤをめぐる紛争拡大は旧植民地に築いた利権を脅かすとの判断があり、世界第二位のダイヤ産出国ロシアにも専門家を派遣して国際監視体制の必要性を訴えている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。