ロシアでエリツィン時代からプーチン時代への移行に伴う“富の再配分”の大きな焦点として、広大な国土のテレコム市場の再編が浮上してきた。

 カギを握るのは、スビャシインベスト社の動きだ。株式の七五%を政府が所有、残り二五%を投資家のジョージ・ソロス氏が保有する同社にはプーチン大統領がサンクトペテルブルク人脈に連なる側近のワレリー・ヤシン社長を送り込み、旧ソ連崩壊に伴う無秩序な民営化政策で八十九に細分化された全国のテレコム関連企業を、大統領が打ち出した行政区画再編に沿って、七から八の企業に統合する計画を進めている。

 プーチン政権は最近、大統領側近のレオニード・レイマン通信相が、同社の子会社に、大市場モスクワでの第三世代携帯電話事業の免許を与えるなどしており、テレコム市場再編に伴う巨大な利権が、プーチン大統領周辺に流れ込む可能性が指摘されている。
 しかし、各地のテレコム関連企業は地元政権と深く癒着しており、中央集権化を進めるプーチン大統領に反発を強める地方の指導者が、テレコム市場統合を様々な形で妨害するのは確実とみられている。

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