最恵国待遇付与をめぐる米中の思惑

執筆者:田中明彦2000年6月号

 この一カ月間、世界の関心を集めた問題といえば、アフリカ西部のシエラレオネで武装勢力が国連平和維持部隊を拘束したことであり、そして、やはり中国に関してだった。

 シエラレオネでは、武装勢力と政府軍や国連平和維持軍との対決が続いていたが、武装勢力の指導者であるフォデイ・サンコーが逮捕された後、国連部隊はようやく解放された。しかし、この事件が示唆するように、アフリカ情勢は困難を極めている。

 この問題についての『エコノミスト』誌の社説のタイトルは「希望のないアフリカ」であった(“Hopeless Africa,”五月一日号)。

『軍閥政治とアフリカ諸国』という著書のあるノースウェスタン大学のウィリアム・レノは、「不安定で機能しない平和より戦争をする方がいい場合がある」と指摘した上で、現在のシエラレオネのケースがそれにあたると論じている。ダイヤモンド取引で利益をあげる反政府勢力は、平和を維持することなどには関心はない。これら勢力と和平協定を結んでも、長続きしないにきまっているというのである(“War in Sierra Leone Can Be Better Than an Impossible Peace,”『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)』、五月十二日)。

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