銀行「ビッグ4」の実力差

執筆者:岩井良尚2000年6月号

 現状の評価では、三井住友、三菱東京、みずほ、三和・東海・あさひの順

 日本の大手銀行は、九九年八月に発表された「みずほフィナンシャルグループ」の結成からわずか八カ月の間に「三井住友銀行」「三和・東海・あさひ」「三菱東京フィナンシャル・グループ」の四つのメガバンクに再編されることが決まった。沈没寸前だった大手銀行たちは、再編によって巨大化して生き残る道を選択したのである。

 しかし、この「ビッグ4」と称される四つのメガバンクの評価は、実は定まっていない。金融不安の嵐をやり過ごす再編ばかりにとらわれ、真の意味で勝ち残る銀行はどこか、外資系金融と伍して戦える銀行はどこかといった視点が意外にも欠けていた。各グループの戦略とは何か、その戦略を下支えする財務体質の改善はどこまで進んだのか、二〇〇〇年三月期決算を下敷きに検証してみる。

それぞれのリテール戦略

 大手銀行にとって経営を支える最大の収益源が個人取引(リテール)であることは、二十一世紀になっても変わらない。だが大手銀行が四つに再編されたいま、以前のような横並びの商品、サービスでは今後の競争は生き残れず、いずれのグループにも独自色を打ち出した戦略が求められている。実は厳密に計算すると、大半の都市銀行が個人分野の収支は赤字とされる。独自色を出しつつ、いかに赤字を解消して収益の柱に再生させるかがリテール戦略の焦点といえる。

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