自民党内で、森喜朗首相では来年の参院選は戦えないと「ポスト森」を模索する動きが本格化している。大本命は加藤紘一元幹事長だが、若手には田中真紀子元科技庁長官や石原伸晃衆院議員を推す動きもある。次の参院選では参院自民党百六人のうち六十人が改選を迎えるが、現状維持も危うい。このため、年内にも首相交代を図りたいというのが党内の大勢だ。

 このうち橋本龍太郎元首相が新たに率いる最大派閥・橋本派(旧小渕派)には、加藤氏を山崎拓元政調会長、森派会長の小泉純一郎元厚相のYKKの枠組から切り離し、条件さえ整えば、亀井静香政調会長ら江藤・亀井派とともに、「加藤政権」を目指すとの思惑がある。野中広務幹事長や青木幹雄前官房長官がYKK解散論をぶつのもその布石で、橋本再登板論も加藤氏を誘い出す道具立てとなっている。

 これに対し、加藤氏の政権戦略は、橋本派と組んで政権を狙うのか、YKKの連携を軸にむしろ橋本派を非主流派に追い込むのか、明確ではない。公明党との関係も、政権を獲得すれば連立から閣外協力に転じてもらうというが、公明党と部分連合を形成するにも、窓口は野中、青木両氏に頼らざるを得ない。

 こうした中で、今後の流れを作る可能性を秘めるのが石原伸晃氏を代表世話人とする「自民党の明日を創る会」。野中執行部に批判的な田中真紀子、塩崎恭久、渡辺喜美、河野太郎、平沢勝榮氏ら若手四十数人が派閥横断で参加。加藤氏の別働隊ともいわれるが、独自の総裁候補擁立も検討している。

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