ナップスターという「悪魔」

執筆者:杜耕次2000年8月号

知的所有権の盲点を突いた「ドット-コミュニズム」の先兵「『ナップスター』や『グヌーテラ』は悪魔の集団であり、コミュニストやハイジャック犯にも等しい」 七月二十四日、米調査会社ジュピター・コミュニケーションズが主催するオンライン音楽のビジネスフォーラム「プラグ・イン」で基調講演に立ったタイム・ワーナー社長のリチャード・パーソンズは、インターネットの世界で急速に普及する音楽交換ソフトの新興勢力を、こんな言葉で激しく罵った。 翌々日の二十六日。北カリフォルニア連邦地裁は、ワーナー・ミュージックのほか、ソニー・ミュージックエンタテインメント、EMIなど世界の大手音楽会社が加盟する全米レコード協会(RIAA)が起こした訴訟で、ナップスター社(カリフォルニア州サンマテオ)に著作権付きの楽曲をサービスから削除するように求める、事実上の業務停止の仮処分命令を下した。 同地裁のマリリン・ハル・パテル判事はこの日の法廷で、「ナップスターは“化け物”をつくった」と被告を非難。原告による仮処分申請から一カ月余りという異例のスピードで判断を下した。「手に負えなくなる前に、芽のうちに摘み取らなければならない」というRIAA側の主張を全面的に受け入れた決定だった。

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