ナップスターという「悪魔」

執筆者:安西巧 2000年8月号
タグ: 日本
エリア: 北米

知的所有権の盲点を突いた「ドット-コミュニズム」の先兵「『ナップスター』や『グヌーテラ』は悪魔の集団であり、コミュニストやハイジャック犯にも等しい」 七月二十四日、米調査会社ジュピター・コミュニケーションズが主催するオンライン音楽のビジネスフォーラム「プラグ・イン」で基調講演に立ったタイム・ワーナー社長のリチャード・パーソンズは、インターネットの世界で急速に普及する音楽交換ソフトの新興勢力を、こんな言葉で激しく罵った。 翌々日の二十六日。北カリフォルニア連邦地裁は、ワーナー・ミュージックのほか、ソニー・ミュージックエンタテインメント、EMIなど世界の大手音楽会社が加盟する全米レコード協会(RIAA)が起こした訴訟で、ナップスター社(カリフォルニア州サンマテオ)に著作権付きの楽曲をサービスから削除するように求める、事実上の業務停止の仮処分命令を下した。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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