そしてダイエーは大丈夫なのか

執筆者:2000年8月号

ローソン上場の「見込み違い」以上に深刻な、本業の不振「ローソンの時価総額は一兆円以上を見込んでいる」 今年二月、ダイエーの鳥羽董社長が子会社の大手コンビニチェーン、ローソンの上場に関して述べた言葉は、いまでは虚ろに響く。一月のセブン-イレブンの株価は一万六〇〇〇円台、格下のファミリーマートですら七五〇〇円台と高水準で推移していた。ダイエーがここ数年、関連会社に売却してきたローソン株の「想定株価」は一万四〇〇〇円。これは決算対策であるから高すぎるとしても、三菱商事や丸紅がローソンへの出資を決めると、ダイエーもコンビニの将来性と成長性にいささか過大な期待を抱いたことは間違いない。 鳥羽社長は四月末の決算発表の席上で、有利子負債を二〇〇二年二月末までに一兆円削減する計画について、「二〇〇一年二月末までに一年前倒しする」と胸を張った。もちろん根拠はローソン上場による資金調達。その時点でダイエーは、今期に既に三菱商事などに売却済みのローソン株と交換できる私募債と、上場時に売り出すローソン株二千六百六十万株で計四千六百十億円のリターンを織り込んでいた。 しかし、上場に先立つ七月十四日、ローソンの公募・売り出し価格は七二〇〇円に決まる。この瞬間ダイエーの調達額は三千五百四十億円と計画を千七十億円も下回り、負債削減計画の練り直しを迫られることになった。誤算だったのはセブン-イレブンなど上場コンビニ各社の株価下落だ。電子商取引の商品受け渡し拠点として人気を集めたコンビニだが、高株価に対して次第に「電子商取引の収益への貢献は薄く、逆に店員の事務負担が増え、コンビニの強みである効率性が損なわれる」(流通アナリスト)と冷ややかな視線が注がれるようになった。ネットバブルの崩壊もあって、コンビニバブルは一気にしぼんでいった。

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