旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身であるロシアの連邦保安局(FSB)が、携帯電話や電子メールの盗聴に本格的に乗り出した。 FSBは従来のアナログ回線の盗聴については、ほぼ自由自在に行なってきたが、ロシアでも富裕層を中心に急速に拡大する携帯電話や電子メールの検閲に関しては、資金不足などから遅れをとっていた。 しかし、このほどレイマン通信情報相が、犯罪対策なと治安強化を理由に、FSBに対して事実上無制限の盗聴を認める決定を下したことなどから、これまで障害となっていた携帯電話会社やプロバイダーの許可を得ずに、裁判所への事後通告だけで盗聴が可能となった。 ロシアでは最近、政界、財界の大物の膨大な通話記録が、インターネットで流布する騒ぎがあったばかり。治安当局による盗聴の記録が、金と引き替えに外部に流出したとの見方が支配的だ。 KGB出身のプーチン大統領の下で、クレムリンが盗聴記録を政争や新興財閥の利権争いに利用する可能性や、治安機関の職員が盗聴記録を密かに持ち出し高額で売る闇取引が横行するのではないかと懸念されている。

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