二〇〇一年一月に運輸、建設など四省庁が統合されて国土交通省が誕生するが、こうした大規模な省庁再編を目前にして、三菱自動車のリコール隠しが発覚したことに対して、霞が関では「あまりに絶妙なタイミングだ」として様々な憶測が飛び交っている。それというのも、国土交通省発足にあたっては、運輸、建設の両省の間で、族議員、OBを巻き込んだ激しい主導権争いが繰り広げられてきたからだ。この六月頃までは、建設省サイドが優勢だったといわれるが、総選挙後に中尾栄一元建設大臣の逮捕に端を発する建設省汚職事件が発覚したことで風向きが変わり始めた。そこに今回のリコール隠し発覚が続いた。 永田町筋は、「リコール隠し発覚で、運輸省サイドはさらに形勢が有利となった」と指摘。さらに「本来であれば行政の責任も問題となるところだが、警視庁への告発によって、マスコミを通じた運輸省のイメージは逆に好転した」と解説する。 こうした状況に対してある経済官庁の幹部は、「三菱の責任はもちろん追及されるべきだが、一方、主導権争い、自己保身などに通じる運輸省のやり方には強い危惧を感じる」と指摘している。

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