「シドニー五輪閉幕」のニュースが新聞各紙の朝刊を飾った十月二日、永田町では「異常国会」が幕を開けようとしていた。 開幕の舞台は参院選挙制度特別委員会。参院比例代表選に非拘束名簿式を導入する公職選挙法改正案の国会提出を翌日に控え、自民、公明、保守の与党三党が午後一時過ぎ、野党の反対を押し切り委員会を開会、怒号が飛び交い騒然とする中で、委員長に自民党の倉田寛之議員を選出したのである。 特別委が開かれた国会三階の参院第一委員会室付近には、開会前から民主、自由、共産、社民の野党四党議員が大挙して詰め掛け、与党議員の入室を阻止しようとして激しいもみ合いを演じる一幕もあった。 参院の選挙制度改革については、与野党全会派が参加した選挙制度改革協議会で今年二月、「抜本改革は次回選挙に間に合わせることは時間的に困難」との結論が出ており、法案提出自体が「約束違反」というのが野党側の主張。「法案を出したいのなら、まず与党側が『申し訳ないが、考えが変わった』と頭を下げ、協議会再開を申し入れてくるべきだ」(小沢一郎自由党党首)との言い分だった。無論、協議会が再開されれば、たっぷり時間稼ぎをし、与党法案を審議未了―廃案に追い込もうとの腹づもりである。

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