米ゼロックスが、保有する富士ゼロックス株の半分である二五%を合弁先の富士写真フイルムに売却することが波紋を広げている。大株主である富士写とゼロックスの微妙な均衡のもとに、富士写から独立した姿勢を貫いてきた富士ゼロックスの小林陽太郎会長が、苦しい立場に立たされる可能性が出てきたからだ。 小林会長は富士写の中興の祖と呼ばれる故小林節太郎の息子で、かつて小林家やその周辺には、「いずれ富士写のトップに」との期待が高かった。だがその傍らで、富士写も高収益経営の実績をバックに小林家の影響力を排除し、富士ゼロックスの経営権奪回を狙っていたという。 しかし、経済界では小林会長が日本を代表する国際派経営者として活躍し、経済同友会代表幹事も務める一方、富士写は高収益を高く評価されながらも「あか抜けない」「がめつく内部留保をため込むだけ」との辛辣な評が根強く、富士写は表だった動きを取れないで来た。富士写としてはライバル、イーストマン・コダックに対抗するために富士ゼロックスのデジタル技術、販売網を早期に支配下に置きたい考えで、小林会長をめぐる騒動は「来年が大きなヤマ場」との見方が広がっている。

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