日本株を更に下げる「MSCIショック」

執筆者:須田慎一郎2000年12月号

国際株価指数として知られるMSCI指数の算出方式が見直され、浮動株を重視する基準が導入されることになった。持ち合いなどが多く流動性の低い日本株は指標への組み入れ比率を下げられるため、数兆円規模の売り圧力が東京市場を襲うことになる。 二〇〇〇年十二月十日、中央欧州時間午後十二時十五分(日本時間十日午後八時十五分)――。 この日は日曜日で、どのマーケットもクローズしていたが、世界各国の機関投資家のファンドマネージャーたちは、この瞬間を固唾を飲んで見守っていた。果たしてこの瞬間に何が起こったのだろうか。 実はこの日、米系大手証券会社「モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター」の関連会社である「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)」が、極めて重大な発表を行なうことになっていた。同社が算出している株価指数であるMSCI指数の算出方法が、大々的に見直されることになっていたのだが、その変更の具体的な内容が明らかになったのだ。 MSCI指数には国別、地域別など約五十種類があるが、その中心はMSCIワールド指数である。世界の代表的な市場全体の動向を示すMSCIワールド指数は、世界各国の主要企業株によって構成されているいわば、“国際版の日経平均”のようなものだ。

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