YES 80% タレントの小林克也が新規開店を連呼するTVコマーシャルが流れたのが五、六年前。しばらく後には、中年女性がレジの前で着ている服を唐突に脱ぎ、返品交換を要求するコメディー仕立てのCMもあった。それが今は、無機質な空間を色鮮やかなフリースが次々に流れ、「一九〇〇円」という価格と五十色の品揃え、ネット販売サイトのアドレスを表示して終わる。「ユニクロ」がブランドとして進化する様は、このCMの変遷が象徴している。広告評論家も絶賛するこのコマーシャルを含め、現在ユニクロの広告戦略を請け負うのは米ワイデン&ケネディ社。ナイキの「JUST DO IT」シリーズなどを手がけた世界でも指折りの広告代理店である。 こうした広告戦略を打ち出す前に、ユニクロの経営母体であるファーストリテイリングの柳井正社長(五一)は昨年、自身を除けば全員三十歳代という若い役員陣と、ブランド確立とビジネス目標について徹底的に議論をした。感性や直感よりも哲学にこだわる柳井らしいやり方であり、ユニクロのグローバル志向はより鮮明になった。 ユニクロについては、今冬のフリース販売目標千二百万枚、イトーヨーカ堂を上回った経常利益(二〇〇〇年八月期=六百四億円)ばかりが話題だが、注視すべきはインターネット販売の破壊力だ。十月十八日に開始した通販サイトは、売り切れ続出の大盛況。フリースは店舗では基本十五色に毎週新色を三色ずつ追加発売しているのに対し、ネット上では五十色を一気に売り出し、しかもサイズ別の在庫状況をリアルタイムで知らせている。サイト開設初日はアクセス過剰でパンク状態。エーシーニールセンとネットレイティングスの調査では、十月第三週のユニクロ通販サイトの推定訪問数は三十八万四千人で、いきなり国内の電子商取引サイトで三位にランクインした。

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