森後継政権は「新旧分離」に賭けよ
2001年3月号
最後の景気対策のカードが、首相退陣というほどの不幸はない。米新政権の成立で東アジアの凪が終わるのは必至である以上、「同盟国・日本」は、経済面でも一層厳しい視線に晒されよう。ついに経済清算の激震を迎える日本が、取るべき戦略とは何か。 予想を上回る日本経済に対する清算圧力というべきだろう。米経済の急減速を機に、政府の唱えていた緩やかな景気回復は雲散霧消し、株価はつるべ落しとなった。藪医者たちが付け焼刃の景気対策を調合するなかで、市場を通じた暴力的なショック療法が始まろうとしている。 与党三党はいよいよ最後の景気対策のカードを切ろうとしている。森喜朗内閣の退陣だ。三月十三日に開く自民党大会を前に、森喜朗首相は九月に予定していた総裁選の前倒し実施という形で、事実上の退陣表明をした。七月の参院選に向けて吹き荒れる世論の逆風を鎮めようというのである。 昨年四月の政権発足からの一年間で百兆円以上の株式時価総額を吹き飛ばしたうえに、景気の腰折れを指をくわえて見ていた森政権の罪は重い。それにも増して、ブッシュ新政権の登場という日本外交にとって最大の好機を、みすみす逃したことは何とも評しようがない。 日米首脳会談はようやく三月十九日に実施されることになったが、三月七日には日米に先立って米韓首脳会談が行なわれている。この辺に、当てにならない日本への米国の苛立ちが見て取れる。日本に対しては、ロシアも首脳会談の延期を申し入れていた。国際政治における日本の存在感は、今やほとんどなくなっている。
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