インドがエネルギー・安全保障の両面で勢力を拡大している。 インド国営石油天然ガス会社(ONGC)が、昨年十二月にベトナムの天然ガス開発への参加を決めたのに続き、二月にはサハリンの石油開発計画への参加も正式に決定した。 この動きは、インド海軍の急ピッチな増強と併せて、世界の安全保障問題専門家達の注目を集めている。 インドは昨年ロシアから空母一隻を購入することを決めており、原子力潜水艦の開発にも着手している。またフェルナンデス印国防相は、「インドの海上権益圏はアラビア海北方から南シナ海までを含む」と発言し、インドの拡大主義を公にしている。 これに対し米国はどう反応しているのか? 一昨年、米国防次官の私的諮問機関の研究会を中心に作成された報告書「アジア2025」は、インドを米国の将来の戦略的パートナーとして位置付けている。米国防エリートの中には、中国海軍への牽制という観点からインド海軍の増強を歓迎する考え方があるのだ。 米中関係に亀裂が入り始めたこの時期、米政権内でインド海軍の増強を容認し、インドと戦略的パートナーシップを組むというシナリオが再浮上する可能性が大である。

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