敢えて告ぐ「最優先は不良債権処理」

執筆者:小暮史章2001年5月号

橋本政権の二の舞を避けるには「構造改革」の重点を見極めよ。まず追求すべきは不良債権の抜本処理以外にあり得ない――。もはや“平時”ではない日本の舵を取る小泉新政権に、「マネー市場『神々の乱心』」特別篇が提出するリスクシナリオとその突破法。 小泉純一郎政権の発足を、外国人投資家は「買い」で迎えた。米国を中心とした外国勢は、四月に日本株を一兆円余り買い越した。株式買い取り機構よりも政権交代の方が、日本株にはプラスになったといえる。問題は、冷静な計算を重視するはずの外国勢が、今回はいささか「改革」路線を買いかぶり過ぎている点にある。「一〇〇-森=小泉」。ある大手銀行の資金担当者は、八〇%をも上回る小泉政権の支持率を、こう解説してみせた。末期の森政権の支持率が一〇%そこそこだったことを思えば、数式の意味合いは明らかだろう。森政権が余りにも無為を重ねたことで、国民の間に蓄積されたエントロピーが発散した結果が、空前の高支持率につながった。「一切の罪や穢れは、森さんに一身に背負っていただく」。今年に入るころから、自民党内にはこんな空気が充満していた。民俗学者、フレーザーのいう「王殺し」を地で行くような、甦りの劇が二十一世紀の日本で演じられた。

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