日米市場間競争の尖兵「QQQ」

執筆者:須田慎一郎2001年7月号

二十四時間取引可能なシステム、シティバンクの後押し――ジャパン・マネーを吸収する米国の戦闘態勢は整いつつある。 昨年初頭のことだ。全米証券業協会(NASD)の中枢幹部が密かに、日本の大手証券会社首脳にある要請を行なった。 ここで言うNASDとは、ニューヨーク証券取引所にならぶ大証券マーケットのナスダックやアメリカン証券取引所(AMEX)などを管理する機関であることは改めて説明するまでもないだろう。NASDは、全米で五千五百以上の証券会社を会員に持つ自主規制機関なのである。 そして、その“要請”とは、「AMEXが扱う上場投資信託(ETF)“QQQ(トリプルキュー)”を日本において商品化すべく動いて欲しい」というものだったのだ。 QQQは、ナスダック一〇〇指数に連動するETFで、九九年三月にAMEXにより開発され、AMEXに上場されたものだ。そもそもこのAMEXは、他の証券取引所との差別化を図るためにETFを積極的に展開してきた株式マーケットと言えるだろう。「AMEXには、二〇〇〇年八月末の時点で六十九の銘柄のETFが上場されており、時価総額六百八十四億ドル(約七兆円)に達しているのです。そして、AMEXの全時価総額の四割強がETFによって占められているのが実状です」(大手証券会社幹部)

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