小泉首相の国内的人気の高さも異例であれば、外国メディアや論壇の彼に対する関心の寄せ方も異例といってよい。日本の首相の外国訪問は、通常は、特別な問題でもない限り、多くのコラムなどで話題にされることはあまりない。政権発足直後の昨年五月、森首相がサミット前の「自己紹介」ということでサミット参加国を駆け足で廻ったが、ほとんど関心を呼ばなかった。 それに比べると、六月末の小泉首相の米欧訪問は、相当の関心を呼んだ。もともとの目的は、やはり「自己紹介ツアー」だったのにもかかわらずである。もっとも、欧米での関心は、いうまでもなく小泉首相の「自己紹介」にあったわけではない。最大の眼目は、やはりこの「変人」が日本経済を立て直すことができるかどうかにあった。「日本の興行師」との評も 特に目に付いたのはイギリスのメディアである。『フィナンシャル・タイムズ』紙は、人物紹介の解説記事で小泉首相を「日本の興行師」と名付け、彼がこれまでの日本の政治家とどれほど違うかを紹介している。「とりわけ印象的なのは、コンセンサスを尊重する国で、小泉氏は強いリーダーシップを発揮していることだ。彼は『私のプラン』、『私のアイデア』について語っている」。

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