合併、事業統合、業務提携……“低生産性”が枕詞になってしまった日本産業、再生への切り札だ。だが、改めて問いたい。「その合従連衡、一体、何の役に立つのですか」。 出口の見えない日本経済。冷たい不況風が吹きすさぶ中、産業界はかつてないほどのスピードで企業の再編・淘汰が進んでいる。規模の拡大と業務の効率化を求め、経営者の多くが他社との合併や事業統合に活路を見いだそうとするようになった。 ただ、安易な「合従連衡」はかえって企業の活力をそぎ落とす。午年である二〇〇二年に、駿馬となるか駄馬で終わるか。企業の命運は経営の戦略性にかかっている。商社でも「三井・住友」? 二〇〇一年はマイカルや青木建設など流通業やゼネコン業界で大型の倒産が相次いだ。いずれも長期の業績低迷に加えて、それまでの無理な拡大策がもとで抱え込んでしまった多額の有利子負債が負担となり、金融機関が追加支援を放棄した。産業界では今年、ゼネコンやスーパーと同じような苦境にある商社の動向が注目される。 三井物産と住友商事が大型の事業統合を仕掛ける――。商社業界でこんな情報が流れている。ある大手商社の幹部は昨年末、社内に「三井物産と住友商事の統合シナリオ」を探るよう指示した。「夏ごろまでに両社が一段と接近するのは間違いない。当社にどんな影響が出るのか。いまから調べておかないと対抗できなくなる」と、この幹部は漏らす。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。