「今年最後の諮問会議ということで、今振り返ると、今までできないと思われたことをかなりやってきました。皆さん方のお蔭です」 二〇〇二年度政府予算案を閣議決定した翌日の十二月二十五日の経済財政諮問会議。進行役の竹中平蔵経済財政担当相から「ご挨拶を」と促された小泉純一郎首相は、「待ってました」とばかり、小泉改革八カ月の成果をまくし立てた。「道路財源の見直しでも、政権発足直後は『こんなのけしからん』という声だったが、それが当たり前になって、現実に重量税について一般財源とした」「道路四公団の民営化も『とんでもない』と言われたが、秋頃からは民営化は当然。住宅金融公庫の話などは『とんでもない』という議論が専門家からもあったが、それも廃止。着実に進んでいる」「一兆円の特殊法人の歳出削減も『三年かかる』と言われていた。診療報酬引き下げも初めて。『とんでもない』ということが極めて冷静に、円滑に決着を見た」 両手でガッツポーズをつくり「やったぞ」と叫ぶスポーツ選手のように、その口調は高揚していた。改革派もとまどう首相の「ずれた響き」 首相の言う道路特定財源の見直しとは、二〇〇二年度予算案で道路特定財源(二兆八千百六十三億円)の八%、自動車重量税(六千七百二十億円)だけで言えば三三%に当たる二千二百四十七億円を一般財源に回したこと。「道路関係四公団の民営化と住宅金融公庫の廃止」は、その方向性は決めたが具体論はこれからの段階。特殊法人向け財政支出は二〇〇二年度予算案で一般会計と特別会計合わせ一兆千百七十六億円を削減し「一兆円削減」目標を達成したこと、診療報酬引き下げも本体で一・三%減、薬や医療材料の公定価格で一・四%減の計二・七%を削減し、「三方一両損」で医療機関側にも痛みを分担させたことを指していた。

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