JFEグループと新日鉄グループに二分され、ひとまず再編の形が見えてきた鉄鋼業界。次の焦点は設備過剰の解消、つまり製鉄所の心臓ともいうべき「高炉」の廃棄だ。 国内不況、輸出減退の深刻化が、大手鉄鋼メーカーに鉄源(高炉=溶鉱炉)休止という究極の合理化を迫っている。供給能力が需要を二割も上回る需給不均衡を解消し、収益力を回復するには、生産設備の根源である鉄源を減らすしかない。 現在、日本で稼動中の高炉は三十一基。二割なら六基削減という大ナタが必要だ。雇用・地域経済の問題に直面するつらい選択だが、新日鉄・住友金属工業・神戸製鋼所・日新製鋼グループと、NKK・川崎製鉄グループ(JFE)の二大陣営に業界が再編された以上、次の焦点は「設備過剰の解消」に移らざるを得ない。大胆に予測してみると…… 鉄鋼業界の指標である粗鋼(鋼材半製品)の生産量は、国内の民間設備投資の低迷、電機・建設・土木といった主要需要業種の不振、対米・アジア輸出の減退から二〇〇一年度全体で一億トン程度と前年度比六・五%減の見通し。二〇〇二年度以降はさらに深刻で、粗鋼生産量は九千五百万トン(前年度比五%減)程度まで下落しそうだ。 これに対し、日本全体の実際の生産能力(粗鋼ベース)は現在、一億二千万トン。この過剰設備状態が鋼材価格の大幅低下を招いている。ホットコイル(熱延帯鋼)を例に取ると、輸出価格でトン二百ドル(約二万六千円)と一年前より一万円以上下落している。

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