世論を操るスピンドクターたち

執筆者:春名幹男2002年4月号

「私がこんなことを言うのは非常にワシントン的だとは思うけど、火曜日の一般教書演説の『悪の枢軸』は私の夫が考えたのよ。全米の注目を集めるフレーズを書くのはよくあることではないので、あらゆるところの見出しでこれが繰り返されるのを見る度に私が妻として自慢している、と思ってほしいわ」 こんな短いeメールが、1月29日のブッシュ米大統領の一般教書演説の数日後、ホワイトハウスのスピーチライターの一人、デービッド・フラム氏の妻ダニエル・クリッテンデンさんから、友人や家族に送られた。 その全文は2月5日、ウェブサイトマガジン『スレート』に掲載され、波紋を広げた。その上、2月下旬突然にフラム氏はスピーチライターを辞任。eメールのせいで解任されたのではないか、との憶測が一気に広がった。 この情報、実は日本のメディアでは報じられていないが、今後の米国の政治動向を占う上で、極めて重要な「戦略情報」だったのである。 この情報をどうとらえ、ブッシュ政権の行方をどう予測するか――がこのコラムのテーマだ。同時に、「戦略情報」とは何か、戦略情報を把握してどのように“スピン”を回すか――スピンドクター(世論操作の魔術師)たちの動きも追ってみたい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。