新生銀行CEO(最高経営責任者)、八城政基に対する昨今の誹謗中傷を耳にするたび、日本の銀行経営ひいては資本主義を標榜しているはずのわが国経済・産業システムそのものが、欧米標準とは似て非なる“紛い物”であることを否応なく思い知らされる。 一昨年のそごう、ライフ、第一ホテルに始まり、昨年の熊谷組、マイカル、日本ビューホテル、さらに今年に入ってのダイエー、佐藤工業と事実上の大型破綻・救済劇の殆どのケースで、新生銀がその引き金を引いたと批判されている。 旧日本長期信用銀行を買収した米投資会社リップルウッド・ホールディングスによって新生銀CEOに指名された八城は、二〇〇〇年三月の就任以来、金融界や取引先企業、マスコミから「国賊」「ハゲタカの手先」――といった罵詈雑言を容赦なく浴びせられただけでなく、国会や金融庁に事あるごとに呼び出され、様々な圧力をかけられた。 例えば昨年八月十日、八城は金融庁長官の森昭治から「国会の先生方が(融資先企業の)借り換えの要望に応じない新生銀行を批判している」と指弾された。この両者の会合の内容をすっぱ抜いた米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、森はこのとき特定の融資先企業四社の実名を挙げ「新生銀行も他行と同じ対応(融資の継続)をすべきだ」と言い渡したという。

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